1 科学技術の進歩

1.1 AI機械学習の普及

2017年は人工知能(AI)と機械学習が実用化の段階に深く入り込んだ年である。音声アシスタントの精度が向上し、スマートスピーカーが北米や西欧の一般家庭に急速に普及した。また、画像認識技術がスマートフォンカメラ機能やセキュリティシステムに組み込まれ、顔認証による端末ロック解除標準化され始めた。企業による深層学習の研究投資は過去最高を記録し、自然言語処理やレコメンデーションエンジンといった応用分野で顕著な成果が上がった。

1.2 モバイル技術の革新

1.2.1 スマートフォンの新機種

AppleはiPhone Xを発表し、有機ELディスプレイとFace IDによる顔認証を初めて採用した。SamsungはGalaxy S8およびNote8をリリースし、ベゼルレスデザインと高い防水性能で市場を牽引した。中国メーカーではHuaweiのP10やXiaomiのMi 6が高性能と手頃な価格で注目を集めた。これらの機種ではデュアルカメラやAIによる撮影補助機能が差別化ポイントとなった。

1.2.2 アプリケーションのトレンド

ソーシャルメディアアプリでは、Instagramがストーリー機能強化により若年層の利用を拡大し、Snapchatに対抗した。メッセンジャーアプリでは、LINEやWhatsAppがステッカーやビデオ通話の品質向上を進めた。また、ライブ配信アプリの普及が加速し、個人によるリアルタイム発信が一般的になった。モバイル決済アプリも世界的に普及し、特に中国ではWeChat PayとAlipayのシェア争いが激化した。

1.3 宇宙開発の動向

2017年、宇宙開発では民間企業の活躍が顕著であった。SpaceXは、ロケット再利用技術を確立し、打ち上げコストの低減に成功した。同社は「ファルコンヘビー」の開発を進め、年末には試験準備が公表された。NASAは商業乗員輸送プログラムを継続し、ボーイングとSpaceXとの協力を推進。また、中国は月探査機「嫦娥5号」の開発を進め、同年に月面サンプルリターン計画の準備を公開した。国際宇宙ステーションでは長期滞在ミッションが継続され、科学実験が行われた。

2 エンターテイメント

2.1 映画業界のヒット作

2.1.1 スーパーヒーロー映画の隆盛

2017年はスーパーヒーロー映画が興行収入で顕著な成功を収めた年である。マーベル・スタジオは『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』と『スパイダーマン:ホームカミング』を公開し、両作品とも批評家から高い評価を得た。『ワンダーウーマン』はDCエクステンデッド・ユニバース初の女性主演ヒーロー映画として世界的なヒットを記録し、社会現象となった。また、『LOGAN/ローガン』はR指定のヒーロー映画として新たなファン層を獲得した。

2.1.2 アニメーション作品の成功

ピクサーの『リメンバー・ミー』はメキシコの死者の日文化を題材に、家族の絆と音楽をテーマにした感動的な作品としてアカデミー賞長編アニメーション賞を受賞した。ディズニーは『モアナと伝説の海』の続編的要素を含む作品を公開し、世界的な興行収入で成功した。日本のアニメーションでは、スタジオジブリが『メアリと魔女の花』を公開し、細田守監督の『未来のミライ』が話題を呼んだ。

2.2 音楽シーンの変化

2.2.1 ストリーミングサービスの台頭

音楽ストリーミングサービスは2017年に有料会員数が急増し、CD販売やダウンロード販売を上回る主要な収益源となった。Spotifyは全世界で1億人以上のアクティブユーザーを突破し、Apple Musicもプレイリストのキュレーション機能で競争力を高めた。日本ではLINE MUSICやAWAがシェアを拡大し、音楽配信市場が本格的に成長した。ストリーミングの普及により、アルバム単位からシングル曲中心の消費行動への移行が加速した。

2.2.2 国際的なフェスティバル

2017年も世界各地で音楽フェスティバルが開催された。アメリカのコーチェラ・フェスティバルは、ラジオヘッドやビヨンセがヘッドライナーを務め、大型ビジュアル演出が話題となった。日本のフジロックフェスティバルは豪雨の中で開催されたが、来場者の安全対策が強化された。また、サマーソニックやロック・イン・ジャパンも主要アーティストを招聘し、フェスティバル文化の定着が進んだ。

2.3 ゲーム業界の話題

2.3.1 ポケモンGOの社会現象

2016年にリリースされた『ポケモンGO』は2017年も継続的なアップデートによりプレイヤーを維持した。新たな伝説のポケモンやレイドバトル機能が追加され、現実世界のランドマークを巡るコミュニティイベントが世界各地で開催された。一方で、歩きスマホや交通トラブルの問題も引き続き指摘され、自治体による注意喚起が行われた。

2.3.2 eスポーツの発展

eスポーツ産業は2017年に大きく成長し、賞金総額や観客動員数が過去最高を記録した。『リーグ・オブ・レジェンド』の世界大会は北京の競技場で開催され、同時視聴者数が1億人を超えたと推計された。『オーバーウォッチ』のプロリーグが本格始動し、テレビ放送契約も成立。日本国内でも『ストリートファイターV』や『スプラトゥーン2』の大会が盛り上がり、eスポーツを学校教育に取り入れる動きも現れた。

3 自然災害と環境

3.1 ハリケーン・ハービーとイルマ

2017年8月、ハリケーン・ハービーがアメリカ合衆国テキサス州に上陸し、記録的な大雨による洪水をもたらした。特にヒューストン都市圏で甚大な被害が発生し、浸水した家屋は数万棟に及んだ。続いて9月にはハリケーン・イルマがカリブ海諸島とフロリダ州を襲い、同州では大規模な避難命令が発令された。両ハリケーンによる経済損失は数百億ドルに達し、アメリカの災害対策の見直しが議論された。

3.2 メキシコ地震

2017年9月7日、メキシコ南部のチアパス州沖でマグニチュード8.1の地震が発生。さらに9月19日には首都メキシコシティ近郊でマグニチュード7.1の地震が発生し、同市で多数の建物が倒壊した。死者は300人を超え、救助活動が続けられた。これらの地震により、メキシコの建築基準や防災教育の重要性が再認識された。

3.3 気候変動への取り組み

2017年、アメリカのトランプ政権がパリ協定からの離脱を表明したが、多くの州や企業は独自に温室効果ガス削減目標を掲げた。世界各地で再生可能エネルギーの導入が進み、太陽光発電のコストがさらに低下した。また、異常気象の頻発を背景に、一般市民の間でも気候変動への関心が高まり、環境問題をテーマにしたドキュメンタリーが多く公開された。

4 社会と経済

4.1 世界経済の動向

4.1.1 株価と金融市場

2017年、世界の主要株式市場は総じて上昇基調にあった。アメリカのダウ工業株30種平均は年初から年末にかけて約25%上昇し、史上最高値を連日更新した。日本の日経平均株価もバブル後最高値を更新し、金融緩和政策と企業業績の改善が株価を押し上げた。ただし、地政学的リスクや北朝鮮情勢の緊張が一時的な下落要因となることもあった。

4.1.2 仮想通貨の急成長

ビットコインは2017年初めに1BTCあたり約1000ドルだったが、年末には2万ドル近くまで高騰し、世界的な投資ブームを引き起こした。イーサリアムやリップルなどのアルトコインも急成長し、多くの個人投資家が参入した。各国政府は仮想通貨の規制を検討し始め、中国では取引所の閉鎖が行われた。一方で、仮想通貨の価格変動の大きさや詐欺事件も社会問題となった。

4.2 国際的なイベント

4.2.1 世界一周航空券のミス

2017年5月、アメリカの航空会社ユナイテッド航空が運賃計算システムのミスにより、一部の路線で通常の数十分の一の価格で世界一周航空券が販売される事態が発生した。このバグはソーシャルメディアで瞬く間に拡散し、多くの旅行者が格安で世界一周チケットを購入した。ユナイテッド航空は後にこのミスを認め、購入済みのチケットを有効とする対応を取った。この出来事はネットミームとしても広く語られることとなった。

4.2.2 ネットミームとバイラル現象

2017年はインターネット上で多くのミームが生まれた年である。「Bottle Cap Challenge」や「Mannequin Challenge」はSNSで流行し、有名人も参加した。また、「Distracted Boyfriend」ミームは人間関係やブランド比較の文脈で多用された。これらの現象は、ソーシャルメディアの拡散力と、ユーザーが自らコンテンツを生成・共有する文化の成熟を示した。

5 スポーツの記録

5.1 ワールド・ベースボール・クラシック

2017年3月に第4回ワールド・ベースボール・クラシックが開催され、アメリカ代表が初優勝を果たした。決勝戦はプエルトリコとの対戦となり、アメリカが8-0で勝利した。日本代表は準決勝でアメリカに敗れたが、大会を通じて大谷翔平の二刀流活躍が国際的な注目を集めた。大会全体の観客動員数やテレビ視聴率は過去最高を記録した。

5.2 アメリカンフットボールのスーパーボウル

第51回スーパーボウルは2017年2月5日に開催され、ニューイングランド・ペイトリオッツがアトランタ・ファルコンズに対して史上最大の逆転勝利を収めた。ペイトリオッツは第3クォーター終了時点で28-3と大きくリードを許していたが、第4クォーターからオーバータイムにかけて一気に追い上げ、34-28で勝利した。この試合は「史上最高のスーパーボウル」と称され、クォーターバックのトム・ブレイディが5度目のスーパーボウル制覇を達成した。

5.3 サッカー主要リーグの優勝チーム

2016-17シーズンの欧州主要リーグでは、イングランド・プレミアリーグでチェルシーが優勝。スペイン・ラ・リーガではレアル・マドリードが優勝し、同クラブは欧州チャンピオンズリーグも制覇した。ドイツ・ブンデスリーガではバイエルン・ミュンヘンが連覇を達成。イタリア・セリエAではユベントスが6連覇を果たした。日本ではJ1リーグで川崎フロンターレが初優勝を飾り、鹿島アントラーズがクラブワールドカップで準優勝するなど、日本のクラブも国際舞台で存在感を示した。